額縁、額装とは、作品をより素晴らしく見せ、価値を高めることや、保存状態をよくすることだけでなく、お客様の「思い出を飾る」ことも大切な役目だと感じております。
額装の技術やその思いは、先代から続き、私まで続く末積製額の伝統となっております。
この仕事をしていて、嬉しいことはお客様が出来上がりを見て喜ばれる笑顔を拝見することです。
オーダーメイド額装では、人間がすっぽり入ってしまうほど大きなものをご要望されることもあり、すぐによい方法が思い付かず悶々と悩むこともありますが、考える工程が楽しく、やりがいを感じております。
近代日本は鎖国政策をとっていましたが、1868年に神戸が開港されました。
その後、横浜に並ぶ2大貿易港として外国との交流も多く、サッカー・洋家具・ラムネ・テーラー・マッチ・洋菓子・活動写真・コーヒー、ジャズ…などの西洋の文化や生活様式が流入し、神戸はいち早く文明開化していきました。
明治の中頃、丸い縁(ふち)の輸入を一手に引き受けていた「末積清七商店」では、明治38年頃に、輸入された額縁をお手本として、額縁の製造を開始しました。
当初は、各地にみられるような家内工業的な方法で、ほぼ下請け職人につくらせていて、家具職人から転じた木地職人や鏡枠職人、それに仏具屋の塗師などの職人たちの手によって、はじめて額縁が作り出されました。
さらに事業内容を整え、昭和8年、神戸工場および営業所を新築するとともに、日本額橡絵画株式会社を創設し、その規模を充実させ、拡大していったのです。
本家日本額橡絵画を巣立っていった中には京都の中川ガクブチの創始者である、中川清太郎と弟の駒次郎兄弟や日吉屋の末積と呼ばれた、末積甚之助の姿もありました。この人こそ、現在の末積製額の初代なのです。
末積甚之助は1921年に、現在の元町駅と三ノ宮駅の中程にある、南北の通り「トアロード」沿いで創業しました。この通りは外国人の山の手の住まいと居留地にある職場を結んでいて多くの人々が往来しました。
同族が創設した日本額椽絵画株式会社を追いかけるように、末積甚之助も神戸に額縁製造の工場を建て、木材の乾燥から組み立て、塗装までの一貫生産をこなすまでに成長していき、販路も増やしていくことができました。
しかし、第二次世界大戦の1945年1月以降の神戸大空襲で、神戸市内にあった末積製額の額工場も大きな被害に遭い、このままでは、額の生産が続けられないと悟った甚之助は、家族が疎開していた兵庫県の丹波市で、廃校になった小学校を見つけ額工場を移転しました。
戦争が終わっても神戸は戦災によって広範囲が焦土と化し、経済や流通などの機能が停止状態となっていたため、日常の生活にも困る苦労が続きました。
戦後11年目の昭和31年になって、神戸の人口は増加し経済活動もやっと活発になっていきました。
そのころ末積製額は、神戸初の都市計画に合わせトアロード沿いの店舗から、すぐ近くに4軒の商店と合同で、現在のビルを建設し営業を始めました。
その後、初代 甚之助は2代目良之助に経営を任せ、丹波の額工場の運営に注力する事になります。
1964年「もう戦後ではない」を合言葉に、東京でアジア初のオリンピックが開催されました。
2代目良之助が末積製額の経営を引き継いだのは、東京-大阪間の新幹線開通や第一次マンションブーム、家電の普及など日本が勢いづいた時代でした。
好景気の波は額縁業界にも訪れ、末積製額は丹波の石生(いそ)工場に約60人、小売りの店舗に各地を飛び回る営業社員も含めた十数人で、西日本を中心とする250店余に額縁を卸販売していました。
皆が寝る間を惜しんで懸命に働き、末積製額が活況を呈していた時代です。
末積隆夫は大学卒業の2年後に末積製額に入社し、祖父の甚之助と共に丹波の工場で額縁の生産に励みました。
社長を受け継いだのは、昭和が終わり平成へと時代が変ろうとしているときでした。
丹波の工場と神戸の店舗の両方を運営していましたが、バブル経済崩壊、東南アジアで額縁製造が始まった事で、国内の額縁製造会社は大きな痛手を受け、末積製額も2008年に60年余り続いた丹波工場の幕を閉じる事になりました。
1995年1月17日に阪神大震災が発生し、元町の店を必死の思いで開けると、店内は商品があちらこちらに散乱し、壊れて折り重なり、手の付けようもない状況に陥っていました。妻子、母、従業員とその家族が皆無事だったことが唯一の救いでした。
従業員や周りの方々の協力のおかげで、震災から3か月後には店を再開することができました。
しかし、インターネットの普及で、社会のあらゆるものが大きく変わり、美術品の市場は、縮小していきました。お客さまの関心は、高額な絵画を飾るよりも、「趣味の作品」や「思い出」、「大切なモノ、コト」を飾ることに変化して行きました。
令和という新たな時代を迎え末積製額は、長年の経験で培われた確かな目利きと、丁寧な対応はもとより、環境や社会の変化を受け止め、皆様のニーズを反映した、よりよい商品とサービスを提供してまいります。
会社名 | 末積製額株式会社 |
住所 | 〒650-0021 兵庫県神戸市中央区三宮町3丁目2-2 |
電話番号 | 078-331-1309 / 078-392-1543(FAX) |
メールアドレス | info@suezumi.co.jp |
適格請求書事業者 登録番号: T2140001008621 | |
取扱商品 |
額縁 - 油絵額、デッサン額、和額/色紙額、賞状額/OA額/勲記勲章額、横長額、ポスターフレーム、写真額、フォトフレーム、モールディング、ピクチャーレール、額吊金具、その他 絵画 - 油絵、複製画、版画、アートポスター、色紙絵、掛軸、ランマ額、その他 画材 - 油絵具、アクリル絵具、水彩絵具、日本画絵具、スケッチブック、紙類、イラストボード、キャンバス・木枠、イーゼル・キャビネット、油絵・水彩用品、パステル、その他床の間廻り商品 各種サービス - オーダーフレーミング、マット加工、掛け軸修復、フォトマウント |
営業時間:10時~19時
定休日:水曜日・年末年始・お盆
JR/阪神「元町駅」東口から徒歩3分
阪急「神戸三宮駅」西口から徒歩10分
JR元町駅の東⼝の改札⼝から出て、交番のある駅前広場に進む
前⽅横断歩道を渡り、進⾏⽅向に進む
前⽅に⼤丸神⼾店の⽩い建物が⾒えてくる
スクランブル交差点を、⼤丸を右に⾒ながら左⽅向に進むと屋根のついたバス停が⾒える
バス停沿いの道を進む
左前⽅にクラフトビールの「Open Air」があり、そのとなり
いらっしゃいませ
お待ちしておりました
⼤丸の時計台のある、トアロード⽞関の前
三宮神社を右⽅向に⾒ながら、正⾯の短い信号を渡る
建物に沿って進み、正⾯の横断歩道渡ると、左前⽅に緑⾊のオーニングのあるお店が⾒える
いらっしゃいませ
お待ちしておりました